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データサイエンスの核心を掴む : 学びと発見の記録

「ビジネス課題を解決する技術」読書メモ一覧

はじめに

私は製造業のデータサイエンス部門のリーダーとして,生産ラインの向上や,業務改善といったビジネス課題に取り組んでいる。これらの課題は,データに基づく意思決定を通じて解決可能であるが,日々発生する多様な課題に対してチーム一丸となって解決していく必要がある。
森下光之助 著 「ビジネス課題を解決する技術~数理モデルの力を引き出す3ステップフレームワーク」は、数理モデルを活用して課題を体系的に解決する手法を提供する。本書を読む理由は,データサイエンスを製造業の現場に効果的に適用するための実践的なフレームワークを学び,チームの分析力を強化し,事業成果を最大化するためである。本書はマーケティングを題材としているが,製造業での応用を意識しながら読み進めていった。

本書の見どころ

データサイエンスによる問題解決のフレームワークを提供している

本章では,本書の主題であるデータサイエンスを用いてビジネス課題を解決する統一的な方法として,3ステップフレームワークを説明している。

この3ステップフレームワークは,

ステップ1 : ビジネス課題を数理最適化問題として定式化する。
ステップ2 : 数理モデルを構築し,未知のパラメータをデータから推定する。
ステップ3 : 数理最適化問題を解いて最適なアクションを導出する。

である。


フレームワークとしてまとまっているメリットは,仕事の進め方が共通化され,品質が担保できるようになることである。
仕事は,チームで行なうことが多い。リーダーとしてチームを引っ張っていくためには,エース社員に頼りすぎることなく,メンバーの力を一定レベルまで引き上げることが重要になる。
一定レベルに引き上げるためには,有効な仕事の進め方をまとめて,それをメンバーに使ってもらうことである。仕事の進め方がフレームワークとしてまとまっていれば,メンバーも迷いが少なく仕事を進められる。


また,「手順」ではなく「フレームワーク」としてまとまっていることも良いポイントである。
「手順」は,仕事の進め方を順番に並べたものである。「手順」レベルまで仕事の進め方を固めてしまうと,考える余地が減るため,仕事の進め方が形骸化し,かえってミスを増やすことになる。
「フレームワーク」くらいまで抽象化されていれば,メンバーによって多少の差は出るものの,考えて行動をすることになり,結果的に仕事の質を高められる可能性を高くすることができる。

データの少なさを「数理モデル」によって解決する方法を説明している

本書は,

2章 マーケティングにデータサイエンスを導入する
3章 認知形成を数理モデリングする
4章 連続最適化で広告予算を配分する
5章 離散最適化で広告出稿番組を選択する

という4つの具体例を通じてフレームワークの使い方を説明しているが,一貫して「機械学習モデルでは解決できない問題点を,数理モデルによって解決する」という説明になっている。

数理モデルは,データの生成過程をモデル化したものであるため,

  • 現実の世界で得られたデータが少ない場合でも,予測精度を高められる可能性がある
  • 機械学習モデルに比べて,解釈性を担保できる

といったメリットがあると理解した。

製造業のデータ分析においては,データが十分に取れない場合でもデータ分析を進めないといけないことがある。そのため,データ分析だけでなく,背景知識を最大限に生かした数理モデルの活用が,実務上では有効になると考えられる。

ただし,「背景知識を数理モデルに落とし込む」ためのテクニックが必要になってくる。数理最適化の問題においても,業務要件を目的関数や決定変数,制約条件に落とし込む必要があるが,数理最適化を専門にしている人は,この落とし込みが非常に上手い。業務で数理モデルを使いこなすには,数理モデル化の手法に習熟していくことが重要になると考えられる。

記事一覧

1章 ビジネス課題を解決する技術

2章 マーケティングにデータサイエンスを導入する

4章 連続最適化で広告予算を配分する

5章 離散最適化で広告出稿番組を選択する