はじめに
ウィシャート分布は,ベイズ統計学や機械学習でも登場する確率分布である。
定義は教科書に書かれているものの,その複雑な確率密度関数がなぜ得られるのか,ということについて説明している入門書が少ないため,自分なりに調べてみた。
本記事では,逆ウィシャート分布の定義と導出手順を整理した。

逆ウィシャート分布の定義
次元正規分布
にしたがう
個の確率変数
の散布行列
この確率密度関数は,
散布行列がウィシャート分布
にしたがうとき,
がしたがう確率分布を逆ウィシャート分布
と呼ぶ。
逆ウィシャート分布は,ベイズ統計学において,尤度が多変量正規分布のモデルにおける,分散共分散行列の事前分布として用いられる。
逆ウィシャート分布の導出
ヤコビアンの導出
本記事でも,ハーヴィル 著「統計のための行列代数〈下〉」の16章の公式をもとに説明する。
と
の間には,
という逆行列の関係がある。
そのため,逆行列に関する以下の公式を用いる。
- (6.20)式
これを用いると,と
との変数変換を行なうヤコビアン
は,
確率密度関数の導出
これまでの結果をもとに,ウィシャート分布の確率密度関数から逆ウィシャート分布の確率密度関数
を求めてみよう。
感想とまとめ
本記事では,逆ウィシャート分布の定義と導出手順を整理した。
逆ウィシャート分布の形は,ウィシャート分布と同じくらい複雑な形をしているが,逆行列に関するヤコビアンさえ求まれば,あとは代入すれば確率密度関数を導出することができた。
逆ウィシャート分布にかぎらず,行列を引数にする確率密度関数は,途中で出てくる微分計算が大変なので,vec作用素の公式をすぐに探せるようにしておくべきだと感じた。
本記事を最後まで読んでくださり,どうもありがとうございました。
参考文献
- [1] 杉山将・著 「機械学習のための確率と統計」,講談社サイエンティフィク,2015
- [2] ハーヴィル・著 「統計のための行列代数〈下〉」,シュプリンガージャパン,2007