はじめに
確率過程は数理統計学の応用分野であり,製造業で扱う時系列データ解析ともかかわりがある。松原望編著・山中卓・小船幹生 著「改訂版 入門確率過程」は,確率過程に関する入門書としてロングセラーである。確率過程の基礎と応用を学ぶために,本書を読むこととした。
本記事は,「第4章 多次元確率変数」および「第5章 独立確率変数とその応用」に関する読書メモである。
第4章 多次元確率変数
本章では2個以上の確率変数を同時に扱う多次元確率変数について説明している。具体的には,
- 同時確率分布
- 周辺確率分布
- 共分散と相関係数
などが紹介されている。
いずれも基本的な話題ではあるが,興味深かった内容について紹介する。
第5章 独立確率変数とその応用
本章では,独立な複数の確率変数に関する諸性質について説明している。具体的には,
などである。
この中で特に,条件付期待値の演算テクニックは,この後の章でも参考になりそうな内容であった。
二段階期待値の計算
二段階期待値の計算とは,
上記の例では,条件付けする変数がのみであるが,これが2変数
であったとしても同様に,
関数の期待値
が
の関数
であるとき,条件付ける変数として
が与えられると,
は関数ではなく1点に定まるので,
定数取り出し
一般にであるが,
が条件付ける変数である場合,期待値計算の中では定数とみなせるため,
条件の1対1変換
条件付ける変数が1対1変換の場合を考える。例えば,から
を求める変換は1対1変換となるが,この場合
部分和への変換では,
まとめと感想
今回は,「第4章 多次元確率変数」および「第5章 独立確率変数とその応用」についてまとめた。
いずれの内容も,数理統計学のテキストに出てくる内容であった。ただその中でも,後続の章にとって重要になるのは条件付期待値の演算テクニックであった。
確率過程では,前の時点の確率変数が,その後の時点の確率変数に影響を及ぼす,というモデルが登場する。その際には条件付分布が出てくるが,条件付分布の期待値計算などは興味があるものの1つである。この際,変数が多いと計算が煩雑になるが,独立性や条件の1対1変換を用いることで,計算が楽になると考えられる。
今後の章で,具体的な条件付分布の期待値計算が出てきたら,必要に応じて本章を見返したい。
本記事を最後まで読んでくださり,どうもありがとうございました。
参考サイト
*1:説明は,例えば久保川「現代数理統計学の基礎」P103などにある。