はじめに
先日,「名刺に『統計検定1級(理工学)』と入れた話」をXにポストしたところ,多くの方から反応を頂けた。
- 名刺に「統計検定1級(理工学)」と入れたが反応が無かった話
拙者,名刺に「統計検定1級(理工学)」って書いて,ご丁寧にQRコードも入れてるのに,名刺を渡したお客さまからコメント・反応を頂いたことが無い。 https://t.co/71bRqrjU4i
— yoschi_s (@stern_bow) 2024年10月20日
↓
- その2日後に,名刺に「統計検定1級(理工学)」と入れたことに反応があった話
拙者,名刺に「統計検定1級(理工学)」と書いているのだが,今日人生で初めて,名刺をお渡しした方から「統計1級なんですか!凄いですね!」と言われた。嬉しい。 https://t.co/BaY0DXiN37
— yoschi_s (@stern_bow) 2024年10月22日
私は2023年に統計検定1級に合格した。2024年10月現在で約1年経つのだが,統計検定1級に合格して変わらなかったこと・変わったことについて整理してみた。
自己紹介
私は日本国内の製造業に勤めており,普段の仕事はデータサイエンス組織のマネージャー(いわゆる課長)である。
昔はデータ分析プロジェクトのリーダーをしながら自分でコードを書いたり,分析結果を事業部門に説明しに行ったりしていたが,40代マネージャーとなった最近では組織運営寄りの仕事をしていて,自分では分析の仕事はほどんどしていない。
変わらなかったこと
職位と給料
受験前から今の職位(マネージャー)だったが,「統計検定1級に受かったから」という理由で昇進も昇給もしなかった*1。
周囲の反応
名刺に「統計検定1級」と書いたが,先述の通りあまり反応が無かった。
変わったこと
数理統計学の知識が増えた
受験にあたり,竹村彰通 著 「現代数理統計学」をじっくり読み込み,かつ久保川達也 著 「現代数理統計学の基礎」の演習問題を全て2周以上解いた。
その結果,家の中で積読になっていた数理統計学や機械学習関係の本が読めるようになった。基礎知識を身に付けることの重要性を実感した。
上司からの評価が変わった
上司(部長)と面談しているときに,統計検定1級に合格した話をしたところ,
目的・目標を明確にしたセルフマネジメントに長けており,自分の取り組むべき学習や研鑽に努めていると感じます。
といった趣旨のコメントを頂けた。「統計検定1級に合格した」という結果を評価されたのではなく,「統計検定1級に合格するために勉強する習慣を持っている」という行動特性を評価されていた。
仕事は,長期戦の中で成果を出すことを求められる。結果にこだわることはもちろん大事だが,それを実現するための行動が取れることも同じくらい重要なのだろう。
資格試験合格に向けた行動のとり方が理解できた
これまでにも資格試験の勉強をいろいろ受けてきたが,試験勉強中はかけた時間や解いた問題量ばかりに気が行っていて,当日答案が思うようにが書けないことがあった。
統計検定の試験を通じて,「当日答案が書ける状態になること」から逆算して準備することが重要である,ということが自分なりに理解できたし,実践することもできた。
具体的な勉強法は,こちらの記事にまとめた。
人に説明できるコンテンツができた
40代になり,自分が成長するだけでなく,周りの人達に良い影響を及ぼすことが求められるようになり,自分でもその重要性を感じるようになってきた。
そのため,自分が学んだことや感じたことを発信していこうと思い,Xやブログを始めてみたが,読んだ方に興味を持ってもらえるような情報が発信できていなかった。
そこで,試しに統計検定の勉強を通じて学んだことを発信してみたら,思いのほか興味をもらえた。そこから,数理統計学や統計検定に関する話題のうち,本やネットではあまり見かけないような内容について,記事を書き溜めることにした。
他人に読んでもらう以上,しっかり書かないといけないと思い,改めて数理統計学の教科書や,過去に取ったノートを読み返すようになった。

試験勉強中にとったノート
そうすると,自分がうろ覚えだったこと*2や新たな発見もあり,教科書ではあまり見かけないような話題についても記事を書くことができた。
最近ではネットや本で手軽に情報に触れられるようになり,知識を得るためのハードルが低くなっているが,時間と手間をかけて得た知識やスキルは,定着度が違うし応用も効きやすいことを実感している。まさに,学んだことが血肉になっている感覚を味わっている。
これからの目標
データサイエンスに関する最近の話題を学ぶ
仕事上では,数理統計学そのものよりも,その応用分野であるデータサイエンスを扱っている。具体的には,自然言語処理や時系列解析をはじめとした機械学習や深層学習である。また,プログラミングやWeb開発に関する知識も重要だ。
これらの分野は,必要に迫られてつまみ食いのように学んでいるが,体系的に知識習得をしていきたい。
併せて数理統計学についても,より深い話題について理解を深めていきたい。
継続的に発信する
試験勉強中は,せっせと知識をインプットすることに注力していたが,ブログを書き始めてからはアウトプットすることの重要性を感じるようになった。
少なくとも自分にとっては,知識の定着が良くなっていると思うし,手書きのノートをWeb化しているようなものなので,検索性も高くなっている。
そして読んでいる人にとっても,多少なりとも良い影響を及ぼしていると信じたい。
まとめ
統計検定1級を取ったからと言って,目立つ変化は無かったが,自分にとっては確実に糧になっていると感じている。
これから受験される方は,是非頑張って頂きたい。
本記事を最後まで読んでくださり,どうもありがとうございました。