はじめに
指数分布の重要な性質として,無記憶性が挙げられる。逆に,「無記憶性を持つ連続型確率分布は指数分布である」ということも示せる。この記事では,無記憶性を持つ連続型確率分布は指数分布であることを紹介する。
「無記憶性を持つ連続型確率分布は指数分布である」
無記憶性
無記憶性とは,以下のような性質のことである。
確率変数が指数分布にしたがうとする。このとき,
が成り立ち,これを無記憶性と呼ぶ。
問題設定
今回の問題設定は,「指数分布は無記憶性を持つ」ということの逆が成り立つ,というものである。
連続な確率密度関数を持つ確率変数 (ただし,)について,無記憶性
が成り立つとき,確率変数は指数分布にしたがう。
これを証明してみよう。
方針
条件付き分布から関数方程式へ変換する
初手としては,無記憶性の式が条件付き分布の形になっているので,これを変形して条件付き分布ではない形にしてみる。
条件付き確率の定義式より,
よって,
見通しを立てやすくするために,のようにおくと,
となる。これは,関数方程式の形になっている。
まとめ
関数方程式を解くことで、「無記憶性を持つ連続型確率分布は指数分布である」ということを示した。
関数方程式を解く際には,0といった特定の値を関数に入れるだけでなく,連続分布であることを利用して微分する,といったテクニックを使うことによって解くことができた。
本記事を最後まで読んでくださり,どうもありがとうございました。