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JTCのデータサイエンス中間管理職の学び

「外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る『99の心得』」 #書籍紹介

 

外資系コンサルの知的生産術~プロだけが知る『99の心得』」の紹介

本書は,山口周氏が書いた,知的生産に関する手法を説明した書籍である。山口氏は電通,BCG,A.T.カーニーを経て,ヘイグループに参画している。専門はイノベーション,組織開発,人材・リーダーシップ育成,キャリア開発などである。

www.kobunsha.com

本書の章立ては,以下のとおりである。

  • 第1章 知的生産の「戦略」
  • 第2章 インプット
  • 第3章 プロセッシング
  • 第4章 アウトプット
  • 第5章 知的ストックを厚くする

5章にわたり,全部で99個の心得を紹介している。

 

本書を読もうとした理由

本書を読もうとした理由は,私自身が知的生産の能力を高めていきたいと感じたからだ。

私は,JTCな製造業で中間管理職をしている。中間管理職の仕事として,部下に対して組織の在り方や技術開発の方針を指し示す必要がある。自分のアウトプットによって影響を受ける人が増えてきているので,アウトプットの質を高めていく必要があるし,アウトプットを生み出すためにはインプットの量も質もよくしていく必要がある。

組織のリーダーとして,自らの部下や上司,関連組織に対して方針や考えをアウトプットしていくためには,どのような行動をとるべきか?

この問いに対する答えを見つけるために,本書を読むこととした。

 

参考になった点

アウトプットの重要ポイント

心得のNo.67が「ベクトルではなく,到達点を伝える」であるが,まさにその通りであると感じた。

アウトプットが「ベクトル」から「到達点」に変わることで,関係者にとって,何をいつまでにどのくらい進めればいいのか,ということが明確になります。

これまで,方針は後で修正が効かせられるように,少し抽象度を高めて提示するようにしていた。だが説明・指示を受ける側からすれば,目指すべきゴールが明確な方が自分の行動が分かりやすくなる。方向性を指し示す以上,最終的には相手の行動を変えていかないといけないので,相手の行動を意識したアウトプットにすることが重要である。

 

インプットの重要ポイント

本書ではインプットにも言及しているが,心得のNo.17が印象的だった。

相手が知らないような一次情報を集めて情報の非対称性を生み出すというアプローチです。これが相手にとってインパクトのある知的アウトプットになる,ということはおわかりでしょう。

アウトプットを生み出すためにはインプットが重要になるが,そのインプットの質については一次情報が重要である,とのことである。部下がいると,部下の報告を聞いて理解したつもりになってしまうが,それでは一段フィルタがかかった状態になってしまう。自ら動いて,人と話をしたり,新しい技術に試しに触れてみたりして,情報を取りに行く,ことが重要なのであろう。

 

本書に対する感想とまとめ

知的生産の方法論について,99個の心得としてまとめられているので,目次を見て自分が気になったところを深読みする,といった読み方もできるので,手元に置いておきたい1冊である。ただ,具体的なスライドの作り方や,具体的な情報の整理の仕方などについては言及していないため,テクニック的な点は他の書籍を参考にするべきと考えた。

ただ,知的生産に関する考え方だけではなく,行動の仕方について丁寧に説明されているので,知的生産に携わる方にはお勧めしたい。