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JTCのデータサイエンス中間管理職の学び

第1回 スマートマニュファクチャリングとシステム健全性管理研究会に参加した

はじめに

「SIG-SMSHM: スマートマニュファクチャリングとシステム健全性管理研究会」の第1回研究会イベントが開催されたので参加してきた。

※なお,

  • 「スマートマニュファクチャリングとシステム健全性管理研究会」という研究会名
  • 「第1回 スマートマニュファクチャリングとシステム健全性管理研究会」というイベント名

がとても似ているので,以降はこの研究会のことを「研究会」,今回参加してきた研究会イベントを「イベント」と表現する。

研究会・イベントの概要

研究会の趣旨

以下の公式サイトによると,本研究会の趣旨は,「人工知能学会第二種研究会のひとつで、スマートマニュファクチャリングとシステム健全性管理の研究開発について議論する場を提供することを目指します。」である。

sig-smshm.github.io

イベントの概要

2024/7/30に東京大学駒場リサーチキャンパスおよびオンラインで,第1回発表イベントが開催された。

参加目的

私は,JTC(製造業)のデータサイエンス組織の中間管理職である。製造業のデータサイエンス組織が扱う分析テーマの代表的なものに,製品の故障診断が挙げられる。故障診断の手法や事例に関する情報収集を行なうために,今回このイベントに参加することとした。

主な講演内容

講演の題名は公開されている「プログラム」から確認できるのだが,講演スライドが公開されていないので,公開されている前刷りの情報をもとに分類する。なお講演の前刷りは,以下のサイトから閲覧可能である。

www.jstage.jst.go.jp

深層学習系の技術紹介

深層学習を異常診断や余寿命予測に適用する技術紹介があった。診断対象は,航空エンジンや水処理施設を摸擬したデータセットだった。

時系列パターンマッチ系の技術紹介

振動データから異常を見つける技術として,部分時系列のパターンマッチングを行なう技術が紹介されていた。

その他の技術紹介

その他の手法として,構造ヘルスモニタリングに関する技術や,量子インスパイアド技術の紹介があった。

印象的だった講演

深層学習による時系列異常検知手法の課題点」は,先行研究における異常検知の問題設定について問題提起を行ない,問題設定こそが重要であるという提言をしていた。
実際の製品・システムの異常検知を行なう場合,異常検知そのものを行なうよりも,その後のアクション(原因推定など)が重要になるので,今後の異常検知論文の在り方を変えていくのではないかと感じた。この論文については,別の記事で詳細を紹介したい。

研究会とイベントに対する感想

研究会で扱うテーマと製造業

この研究会で取り扱うテーマは,日本の製造業にとって重要なものであると実感した

研究会の趣旨」にある通り,スマートマニュファクチャリングシステム健全性管理(System Health Management)である。製造業におけるエンジニアリングチェーンを考えた時に,スマートマニュファクチュアリングは生産にかかわるものであるし,システム健全性管理はアフターセールスにかかわるものである。

製造業におけるエンジニアリングチェーン

※図の参照:「システムズエンジニアリング」と「BOM連携」で進める製造業のデジタル業務改善:製造業にダイナミズムをもたらすデジタル変革(2)(1/4 ページ) - MONOist

そのためこれら2つを高度化していくことは,製造業が生み出す製品の競争力を高めていくことになる。

自分の業務への活用方針

今回のイベントには,学術界だけでなく産業界の方も多く参加していた。産業界の事例は,自社で横展開できうるものだったので,例えば,製造ラインの故障診断や製品の運用・保守サービス開発に活用できると考えている。
また将来的には,自社の事例などをこの研究会において提供していければよいと感じた。